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この記事のハイライト
●成年後見制度とは、判断能力が低下した方に代わって財産管理や事務手続きの手配をおこなう仕組みのこと
●成年後見人の選出にあたっては、家庭裁判所に申立ての手続きをする必要がある
●成年後見人が不動産売却する際は、居住用不動産と非居住用不動産で売却方法が異なる
不動産売却は、所有者本人の意思のもとでおこなわなければなりません。
しかし認知症などで判断能力が乏しくなると、不動産売却をはじめとする法律行為はできなくなってしまいます。
このような場合にも、成年後見人と呼ばれる代理人を選任すれば不動産売却ができることをご存じでしょうか。
今回は、成年後見人とはどのようなものなのか解説します。
藤沢市および隣接の市区町村に不動産をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
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目次
1. 不動産売却で成年後見人を選ぶ成年後見制度とは?
2. 不動産売却で成年後見人を選ぶ手続きの流れ
3. 成年後見人が不動産売却をする方法
4. まとめ
成年後見制度とは、認知症などが原因で判断能力が低下した方を、支援・保護する仕組みのことです。
成年後見制度を利用すれば、不動産売却などの法律行為や、介護施設への入所手続きなども、本人に代わって受任者である後見人がおこなえます。
この成年後見制度には、次の2種類があります。
任意後見制度
法定後見制度
それぞれどのような特徴があるのか確認していきましょう。
任意後見制度とは、判断能力が十分にあるうちに、本人の意思によって受任者との間で任意後見契約を結ぶ方法のことです。
任意後見契約の内容は、本人(受任者)と任意後見人の候補者(受任者)との間で、自由に決められます。
不動産売却にあたり、売却のタイミングや取引条件に関して、本人の希望を盛り込みやすいのも任意後見制度の特徴です。
そして任意後見契約を開始する際は、家庭裁判所が任意後見監督人(弁護士・司法書士・社会福祉士・税理士などの専門職や福祉法人)を選任します。
任意後見契約の内容が適切に実行されているかどうかをチェックし、何らかの不正があれば任意後見人を解任できるようになっています。
公正証書を作成する
任意後見制度では、公正証書を作成して契約内容を取り決めます。
このときの契約内容は、法律の範囲内で自由に決められます。
なお、任意後見人がおこなうのは、財産の管理や介護・生活面における事務手続きの手配が中心です。
認知症などで本人の判断能力がすでに失われていると、任意後見制度は利用できません。
その場合には、家庭裁判所が後見人を選任する、法定後見制度を利用することになります。
法定後見制度は、判断能力の程度に応じて次の3種類があります。
後見:判断能力が欠けている状態
保佐:判断能力が著しく不十分な状態
補助:判断能力が不十分な状態
法定後見制度の注意点
法定後見制度による成年後見人は、家庭裁判所の選任によって決まります。
そのため、子どもなどの親族が選ばれるとは限りません。
具体的には、弁護士や司法書士といった専門家から選任されることもあります。
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不動産売却に先立って成年後見人を選出する際は、家庭裁判所に成年後見開始審判を申立てる必要があります。
家庭裁判所への申立てできる者は、以下のとおりです。
本人(後見開始の審判を受ける者)
配偶者
四親等以内の親族
市町村長
申立てに際しては、成年後見人の候補者を立てることもできます。
候補者を立てたいときは、申立書に候補者の氏名・住所・続柄などを記載してください。
ただし実際に選任するのは家庭裁判所なので、必ずしも候補者が選ばれるわけではありません。
申立て手続きの、おもな必要書類は以下のとおりです。
審判申立書
申立事情説明書
本人の戸籍謄本、住民票(3か月以内に発行されたもの)
成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票(3か月以内に発行されたもの)
後見登記がされていない証明書(3か月以内に発行されたもの)
本人の診断書(健康状態に関する資料)
財産目録
親族関係図
財産の裏付け資料(預貯金通帳写し、残高証明書、不動産の登記事項証明書、ローン契約書の写しなど)
収支の裏付け資料(年金額決定通知書、家賃、地代の領収書、介護施設の利用料、入院費や納税証明書、国民健康保険料の決定通知書など)
上記以外の書類を求められることもあるため、詳しくは管轄の家庭裁判所にご確認ください。
任意後見制度、法定後見制度のいずれも、裁判所への申立てにあたり次の費用がかかります。
収入印紙:3,400円
本人の判断能力の鑑定費用:10~20万円
医師による診断書の作成費用:病院ごとに異なる
その他:住民票・戸籍謄本の取得費用、送付費用など
必要書類と費用を添えて、本人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てをおこないます。
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成年後見人であっても、無制限に不動産売却できるわけではありません。
本人にとって不利益になるような行為はできないため、売却する不動産の種別が重要となります。
そこで、居住用不動産と非居住用不動産の売却で気を付けたいポイントを確認していきましょう。
居住用不動産は、必ずしも本人が現時点で居住している物件とは限りません。
たとえば、一時的に病院に入院していたり介護施設に入居したりしている場合でも、退院・退所の際には再び居住する可能性のある不動産を指します。
再び居住する見込みがなくても、成年後見人が不動産売却の際には家庭裁判所への申立てが必要です。
売買契約を締結したら、居住用不動産処分許可の申立てを家庭裁判所におこないます。
家庭裁判所からの許可が得られれば、売買契約は有効となります。
そのため、万が一不許可となったときに備え、売買契約の際には停止条件(裁判所の許可が下りなかったときは契約を無効とする)を付けておきましょう。
手続きの必要書類
居住用不動産処分許可の申立てでは、以下の必要書類を準備してください。
申立書
収入印紙
郵便切手
処分する不動産の全部事項証明書
不動産売買契約書の案
処分する不動産の評価証明書
不動産会社作成の査定書
申立ての際は、不動産売却の必要性や所有者本人・親族の意向などが重視されます。
そこで取引条件や、売却後の代金の管理方法などを確認しておきましょう。
このほか、所有者本人の生活状況や帰宅先が確保されているかどうかも確認すべきポイントです。
非居住用不動産は、家庭裁判所の許可を得なくても不動産売却できます。
なお、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得てください。
ただし非居住用不動産であっても、不動産売却にあたっては正当な理由が必要です。
たとえば、本人の生活費や医療費を確保するためなどの理由が考えられるでしょう。
また、成年後見人や親族のための売却は認められないので注意してください。
さらに不動産売却にあたっては、売却価格にも注意が必要です。
相場より著しく安い価格で売却すれば、本人の利益にならないと家庭裁判所に判断されることがあります。
そこで少しでも良い条件で不動産売却するため、不動産会社と相談しながら売却活動を進めていきましょう。
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成年後見制度とはどのようなものなのか、成年後見人による不動産売却の方法とともに解説しました。
認知症などで本人の判断能力が低下しても、成年後見人がいれば本人に代わって不動産売却などをおこなえます。
ただし、通常の不動産売却の流れとは異なるため、家庭裁判所や不動産会社と相談しながら進めていくのがポイントです。
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